238人が本棚に入れています
本棚に追加
/276ページ
今日は帯刀さんが我が家に来る日。
いつかは来るだろうと思っていた日が、まさかこんなに早く来ようなんて、誰が予想しただろう。
少なくとも私はまだ当分先だと思っていたし、それを望んでいた。
――――先日
うっかり社内でイチャついていた所を父に見つかり、彼の逆鱗に触れた。
あの時は最悪だった。
『きっ、貴様ーっ!俺の可愛い娘に何をしてくれてるんだっ?!名前と所属を言えっ!!』
『お父さん止めて!』
『凪っ、お前は黙ってなさい!!』
とんだ修羅場だ。
『副社長、その辺で………お時間ですので』
『ええぃ止めるな!』
『ですが、会長をお待たせする訳には……』
帯刀さんに殴り掛かろうとした父を秘書の方が機転を利かせて制してくれ、事なきを得た。
『………ふん。貴様、命拾いしたな』
父の捨て台詞を受けて、帯刀さんは『凪ちゃんのパパ、やっぱこっわいねぇ~』と他人事のように笑ってて、脱力させられた。
我が家の暴君とマイペースな帯刀さん。
初対面が最悪だっただけに、父の帯刀さんの印象はとんでもなく悪いと思う。
最初のコメントを投稿しよう!