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彼らの内の一人が声を発した。彼らは彼らなりの民主主義により、一番大きな個体を代表とし、喋らせた。しかし、画面の上では相変わらず無数の斑点が蠢いていた。恐怖と打ち解けるにはまだ時間が掛かるようだ。
「聞いてんのか?おい鈍間、お前がうだうだと喋るせいで文字数が444になった。不吉すぎるんだよ!しかも今は朝の四時ときた!これで短針が9の手前にあったなら、お前の細胞を右から順に破壊していたぜ!くそっ、くそっ!」
僕はあまりにも気になったので、斑点の代表を掴んだ。スライムの様な感触、と予想していたが、実際には何も感じなかった。空気より軽い物を握ったのだろう。
掴まれた個体は肉になって、消えた。代わりに一つの斑点が大きく膨らんだ。僕はその事象が起きる前に、少年時代、ナメクジの目を左右交互に押して遊んでいた事を思い出していたので、丁度良かった。
童心に帰るきっかけは突然訪れるのだな、と今年二十歳になって初めて気付けた。
「待ってくれよぉ。僕たちは君がやらなくちゃぁいけない事を言いにきたんだよぉ」
斑点の新代表は弱腰だった。
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