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「で、その四組の話も妙なんだ。奴ら、全組片方は眼鏡、片方は上背のある短髪、と云うペアなんだ。校庭の真ん中でサッカーしている様なタイプには見えない。優しい町、"表内町"に住んでいると、芋になるのかい?」
「確かに、私の様な眼鏡ののっぽは見かけませんでした」
僕は、椎名-英治は例外なんじゃないか、と思っている。
本当に表内の人間なのか?初見じゃ紳士そのものなこの男の過去を追跡すると、何か、強烈な、濁流の様な厄が襲ってくる。そんな形貌を有していた。
まあ、優しい町の人間がweb小説家をしている時点で眉唾物だ。web小説家に碌な奴は、自分を含め、いない。
椎名-英治はやはり例外、だ。
「蟻、じゃないですかね?」
椎名-英治は足を止めた。Cafe Rissotが直ぐそこだったからだ。
「蟻の見分けがつく人間は、熱心な昆虫学者くらいでしょう。しかし蟻は、仲間を見分けられます。顎の形、瞳の色、外骨格の具合…なんかが指標かもしれません。見え方が違えば、眼鏡と短髪のペアばかり、と云う工合の所見にはならないのではないでしょうか?」
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