し-な

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 夜なのに、月が明るい。しかしそれは何年前かから同じ事。ルクスと云う単位は知らなかったが、僕は電気スタンドのスイッチを押した。  スマホの電源を点けると、デジタル時計の表示の下に灰桃の斑点が現れた。太陽をじっ、と見た後、目を瞑ると瞼の裏に映るアレらの様に、画面上の斑点達も踊っていた。  僕は眠い目を瞬かせながらそれらを見ていたので、画面は直ぐに占領された。砂塵、蜃気楼の様に震えながら灰桃しか映らなくなった。  その内、斑点達は体を持つようになり、小指の爪の大きさ程まで膨らんだ。幸い、そこから大きくなる様子は見られないので、僕はかなり安堵した。  シミュクラ現象が悪さをし、彼らに顔が見えた。レーズンの様に真っ黒な三つの点が生え始めたのだ。  「やめてくれ!僕は集合体恐怖症なんだ!話があるなら、一人ずつ訪ねてくれないか?もし、君達が言語を会得しているなら、君達はどんな感触がするのかも教えてくれ。飽くまで、僕の知的好奇心からの質問だが、君達への恐怖と打ち解けるためには、なかなか有効な一手だと思うんだ!」  「セリフが長いぜ」
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