第一部①

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第一部①

「邪魔よ!」 『痛っ』 突然、突き飛ばされてバランスを崩した。恐る恐る私は義姉の顔を見上げる 「な~に。その顔は! あなた、まさか文句でもあるの? ほんっとにその顔を見ると虫酸が走るわ。さっさと私の視界から消えてちょうだい」 『申し訳…ありません…』 「ほんっとにトロいんだから」 はぁ 義姉の癇癪や八つ当たりはいつものこと ただ黙って耐えるしかない 私は10歳の時にこの家に引き取られた。それまで母と2人暮らし。決して裕福とはいえなかったけれど、優しい母と穏やかに過ごしていた。いつも忙しい合間をぬっては私との時間を作ってくれた。    気軽に新しいお洋服を買うことは出来ないので、ほつれているところを修繕してくれたり、野菜の切り方を教えてくれたり、一人で生活するために必要なことを教えてくれた。   嫌なことがあった時は、一緒に歌を歌って明るい気分になれるように励ましてくれた 今なら分かる。 母は私の前では無理をしていたのだと思う…心配をかけまいと。 倒れるその瞬間まで。  私もどこかで働きたかったけれど、子供のうちは遊ぶのが仕事だからと。
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