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尊(みこと)を霊長にするならば、夜霧は確かに幾らでも在るが…懐かしいと思える。手の感触や粗さは変わらないが、変わらないのか。より鋭利に至った所為か…やはり、手応えがない。棒切を俺は振り回していたのか?確かに確かに…確かに夜霧だが…。「はっ!しまった…街が…。」俺は棒切を振り回すみたく、割りかし良い感じで夜霧を振るった。斬撃は奇しくもよく飛び、街は…覇魔巣の街並みはズタズタであった。「あーでもない。こーでもない。と棒切みたく餓鬼みたく振り回したからか…。」俺は絶望に打ち拉がれていた。「レフィル万江田…。」巨大なビルのビジョンに俺の姿が映る。モーションキャプチャーのそれとは真逆の関係だろう。人が血飛沫を上げ、バラバラに飛び散ったり、悲鳴を掻き消すようにそのドタマをかち割るのだ…。夜霧の様な単為る棒切の様な威力…。結果が全てか…。佇む俺の前に先程の老人が現れた。「腹を割れ…歴史が紡ぐ故に…。」老人はそう言うなり、夜霧を投げやった。「溶けなかったぞ。この刀は朽ちん。」老人は去って行った。
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