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「一番が無いから……私と同じで、きっと一番の席が空っぽだから。投げ売りするように……ううん。言い方が悪いな、これじゃ……」
「ぇぐっ、何よおぅ〜……」
「私、ミナギが羨ましかったの。何で中身はがらんどうなのに、愛の形を作り出せるのかなって……
私と同じ、人形の筈なのに──ミナギはいつも、相手に順応した愛を見抜いて、形にする。どっちが操り人形なんだろうって分からなくなる位……互いを求め合って、相手を虜にしちゃう」
「ちょっと、何よそれ……褒められてる気がしないんだけどぉ?」
拭った涙。からかったように奪った唇。白夜ちゃんは顔色一つ変えずに、微笑むだけだった。
「私には出来ないことだらけ……だから、すごく羨ましかった。いつもミナギには嫉妬させられてたよ。仕事に対して、自我の芽生えもそこにあった」
「あらあら……全然、そんな風には見えなかったけどぉ?」
「それは、ミナギが私を大事にしてくれてたのをちゃんと知っていたから……波風立てずにいたいじゃない」
「ふふっ……そう?」
「うんっ……そう!」
何が面白かったのか、楽しかったかも分からない。けれど、私達はまるでシンクロしたかのように吹き出して、馬鹿みたいに笑い合った。疲れや睡魔に侵され、欠如しかけた注意力をハイで飛ばして──子猫のようにじゃれ合い、おでことおでこをくっつけて見つめ合う。
そこには、陽の色に染まっていく美白の肌と空色の瞳が大きく映ったわぁ。
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