6人が本棚に入れています
本棚に追加
憂鬱が融解するばかりの空を見上げて【魂の在り処(前)】
一体、何時間この不穏な空気に揺られていればいいのだろうか?
(いい加減、息苦しい……)
車の窓へと何度も放つ視線。この現実逃避も一体、何度目なんだと呆れた溜息が純真の口から滴る。
不動明王のように鋭さを際立たせた力帆の横顔。これで数時間も無言を貫いているのだから、純真からしたら溜まったものじゃない。
(頼むから、これ以上鼓動を騒がせないでほしい……)
目的地すら、全く予測がつかないドライブ。しかし、力帆自体が道を悩む様子は一切無い。
(この先、絶望しかないのは気のせい?)
自ら吹っ掛けた喧嘩。切り開いたと言うより、無理矢理抉じ開けた道。まさか、こんな展開になるとは思っていなかった……と、純真は自分の後先見ずの行動を後悔し尽くしていた。
最初のコメントを投稿しよう!