憂鬱が融解するばかりの空を見上げて【魂の在り処(前)】

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 ──そうした経緯で、今の不愉快且つ杞憂な状況に陥り数時間。薄明るい空に白星が散り、憂鬱な夜明けが彼等を包み込む。  今いる街を離れ、暫く続いた山道。そこを抜け、また街を跨ぎ、山、木、林、再び山、と……  ここは一体どこですか? なんて、恐れ多くて一度も聞けずに。純真は視界一面に広がる海をぼんやりと眺めていた。   「反応無しか?」  刹那、流星の如く飛び込んで来た低声に彼は肩を小さく跳ね上がる。 「はい?」   「白夜の出身地──日照町。言わずもがな、ここから全てが始まったんだ」  ぶっきらぼうだった姿が一変、力帆の口端が得意げに吊り上がる。挑戦的な目つきは、彼の野心を隠さない。  純真は会話を繋げず、沈思黙考する。力帆に関しては、未だ不明瞭な部分が多く、信頼など以ての外。自分の考えを見抜かれたら出し抜かれてしまうと、慎重にならざるを得ないのだ。 「昔、白夜達と一度キャンプをしたことがあったのよ」 「キャンプ……? 白夜さんと誰です?」 「馴れ合いはしねぇと言ったはず。赤の他人に思い出話を語るつもりはねぇよ」 「はぁ……」  互いに警戒心の強さが障壁となっているのか、弾まない会話。  如何せん取っ付きにくいと、純真は気を削がれるばかりだ。
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