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「結局お前が鮮明にしたいのは、白夜の消失した過去──アイツと極夜の関係性だろ?」
確信を自信にした、力帆の強く先鋭な視線。純真は恐怖を喉奥に詰まらせながらも、胸を張る。ここで負けては、戦場ばかりか土俵から弾き出されてしまうから──虚勢でもいい。白夜のことに関して、引き算は要らない。常に足し算でいないと、と。
「はい。そこに全てのヒントがあると、そう信じてます」
「ヒント、ねぇ……その考え方自体は間違っちゃいねぇが、同時に真実が全てとは限らねぇってことも知っておきな」
「それでも、まずは知らなきゃ……筋道を立てることは愚か、理解も蚊帳の外です」
「それなら、これだけは言っておくぞ。アイツ等二人は興味や好奇心の類で触れていい相手じゃない。長生きしてぇのなら、白夜からはすぐにでも手を引け」
「お断りします。俺は白夜さんを救う為に──「アイツへの愛情が根底にあるのなら『尚更』だって話をしてるんだよ。現に二人、アイツ等に深入りしたことで破滅を見、奈落底に急転直下した奴がいる。
それに、俺からしたら極夜だって所詮は──」
白夜に殺された一人に過ぎないんだよ。
反論文句すらも殺しに掛かった低声。嫌に含蓄があり、真実味を語る一言。純真は一瞬思考を奪われ、それが回復した頃には口がわなわなと震え始めていた。
「何です? 白夜さんが初恋を殺した、ですって……?」
理解や納得などしようがない筈なのに、直感が力帆に嘘は無いと告げている。説き伏せられてはならないと意地を張ってみても、混沌が彼の愛慕心を侵していく。恐怖が鼓動を急き立て、背に冷や汗を滲ませるのだ。
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