憂鬱が融解するばかりの空を見上げて【夜明けが見せた虚空(前)】

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 私、それがすっごく嬉しかったぁ〜……他の子を出し抜いて、初めて寵愛を受けたわぁ。部屋に招き入れられ、オシャレをたくさんさせてくれて、美味しいホカホカご飯を毎日食べられて……  「前代未聞だ」なんて言われても、当主様はなんのその。きっと、奥様を早く亡くしてから、ずっと寂しかったのねぇ〜。  私がその喪失感や寂寥感を埋めてあげる。間違いない……これは私の初恋──そう思っていたのに。 『なんできみは、いつも泣いているの?』 『泣いてなんかいないわ。わたし、いまとってもしあわせだもの』 『ぜんぜんしあわせそうにはみえないよ』 『しあわせよ。だって、とうしゅさまがまいにち、わたしをめでてくれるから』 『が愛でてることになるのなら、とうさんはほかにもいっぱいそうしてる女がいる。たくさん、あいがあるんだね』  不意に差し出された手。当時の私は意味が全く分からずに、思い切り払い除けてしまった。  すると、……本当の私を見つけてくれた彼は笑ったの。  眩しい陽射しを背にした姿は、まるで彼に後光が差しているようで── 『きみがいたがることをつらぬくのが愛というなら、それはまやかしだよ。きっと、ただのひまつぶしだ』  ──こっちへおいで?  広げられた両手。そうされる意味なんて、相変わらず分からなかったけど──
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