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厄介事しか起こらない。
「嫌です」
つーんとそっぽを向いた私に、幸運を司る女神様は泣きそうな表情を浮かべた。
「そこをなんとか、お願いします!」
「嫌と言ったら嫌‼」
叫ぶ私に女神様がすがりつく。
「私の立場もあるんですよぉ……!」
「知らん!」
小競り合いをする私達を尻目に、猫達は普段通り毛づくろいをしたり、呑気に欠伸をしたりしている。
まぁ、猫達にとってはいつもと同じ光景だろうからな。
私は小さくため息をついた。
猫達と暮らすアラサーの私、相田つかさはうっかり異世界転生をかました。
最期に思い浮かべたのが「猫達のごはん、どうしよう……」だったせいか、私が飼っていた8匹の猫も一緒に異世界に来てしまった。
……女神様にとんでもチートを与えられて。
この世界で目を覚ました私が最初にしたのは、女神様の結界を破って逃げ出し、好き放題に暴れ回る猫達を回収する事だった。
猫達が、うっかり世界を滅ぼす前に。
無事、猫達を回収したあともなんやかんやとあり、世界を救ったり、やっぱり滅ぼしそうになったり。
うん、まぁ、いろいろあった。
〈竜殺し〉やら〈神殺し〉だの物騒な通り名がつき、私が猫神の眷属となったせいか、厄介な頼まれ事が増えてきた。
……主に、神様方面から。
この世界には、普通に神様がいて各国や都市を守護している。
そのおかげで、大きな争い事は起こらない。
その前に、神様が間に入ってくれるからだ。
ちなみに、幸運の女神様が守護しているのは神聖王国クリスタルで、猫バ……、いや、猫好きの女神様のたっての願いで、私達の仮の拠点は女神様の神殿の奥にある聖域と呼ばれている湖だ。
その事もあり、神様の中では新参者の女神様は、私達への仲介を頼まれるようになったようだ。
だが、神様の依頼なぞロクなものではない。
猫達のとんでもチートのおかげで危ない事は滅多にないが、うっかり世界を滅ぼしそうになったり、破壊しそうになったり、神様をヤッちまいそうになったり……。
神経すり減らしながらやってんだよ、毎回!
「つかささん、お願いですからぁ……!」
「知らん!!」
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