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生霊のようなもの
見えないものは、あると感じている。
そう書くと、スピリチュアルキラキラな人かと思われそうなので、もう少し補足する。
「糸を読む人」という長編を書いたことがあり、あれに出てくる目に見えない運命の糸みたいな感じの、人間にはどうにもならないエネルギー作用みたいなものが、あると感じている。
※「糸を読む人」を読んでみてください、などという宣伝ではない。
そのエネルギー作用は、どういうふうに生まれるのかということだ。
多くの場合、自分の気の持ちようで何とかなると思う。
でも、自分自身が体調が悪かったり、面倒なことが重なっていたりした場合、もろに他者からのエネルギーの作用を受けてしまうと思う。
調子が良い時は、誰かの言葉なんかすぐ忘れるし、因縁ある人と頻回にすれ違っていても気にならない。
でも、調子が悪い時は、それをすごく重く受け止めてしまう。
生霊という考え方があるけれど、生霊がついてしまうのは、そういう時だと思う。
本当に不思議だが、変な時期は、なるべくなら関わりたくない相手と何度も繰り返しすれ違ったり、顔を見たりするのだ。
それも、全く別の時間帯や場所で。
まるで、確認作業のように感じる。
「ね、あのこと嫌だよね、ああいった記憶、あるよね、忘れてないよね」
生霊だー、とちょっとでも思ったら、おまじないがある。
なんでもいいので、感謝しまくる。
バナナが安かった、とか、家族が優しい、とかでもいい。
今日食べたお昼が美味しかった、とか。
今日の空はすごくきれいだ、とか。
今日もうちに帰ったら温かいお風呂や布団があることとか。
ばかになったつもりで、ありがとうを繰り返していれば、とりあえず気分はやや上向きになる。
その上で、塩をふるとか、大声で歌を歌うとかして、とにかく、自分の足に絡みつくような感覚を振り払うようにもがいてみる。
たぶんそのうち、別の良い流れがやってくる。
いつまでも、同じ状態ではない。
その場しのぎでもいいから、今を乗り越える。
自分の機嫌を自分でとる感じに近い。
変なことが続いている時期は、とりあえず一日を無事に終わらせる。
下手になんとかしようとしない。
綱渡りみたいにして、自分を良い状態に持っていく。
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