第一部 序篇 彩蓮篇 第一巻 運命の婚礼 序章

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   通路は人間ふたりが、どうにか並んで歩けるだけの広さがあった。  進むにつれてわかったのはこの通路は幾本もの分かれ道や、無数の枝道で構成されていることだった。  一度進む道を間違えてしまうと、永遠に闇の中を彷徨い続ける、迷路のように造られているらしい。  この抜け道は星光宮の造営が始められるのと同時に、極秘裏のうちに掘り進められたものであった。  城の完成後も延々と作業は続き、ここまでの形に完成するまでには百年近い歳月が費やされた。  建設に携わった者たちは親、子、孫のなん代にもわたり、誰にも話すわけにもいかない日の当たらない地下で、ただただ穴を掘ることだけに生涯を費やしたのだろう。  まるでそんな人々の執念が凝り固まったような、地下迷宮といっても過言ではないしろものであった。  ダリウスは路が分かれている所へくると、壁をなぞってはなにごとかぶつぶつと小さく呟きながら、進むべき方角を探っている。  知るべき者のみにわかる、なんらかの印が壁に彫られているのだろう。 「皆、はぐれるでないぞ。はぐれたら最後、この地下道の中を死ぬまで歩き続けることになる。運良くさっきの入口へ戻れたとしても、もうあの扉は内側からは開くことは出来ぬ」  ダリウスが注意を促す。  それを聞いた兵たちが無言で頷いた。
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