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「美味しいか分からなかったからもう一回して?」
今度はチョコレートショートケーキをフォークに乗せて隼人に向ける。絶対顔は赤いし、フォークを握る手はプルプルと震えていた。
面食らったような顔をしてから、妖艶に笑う。手首を掴まれて隼人の口にケーキが運ばれた。
「あんまり可愛い事するとやめてあげられないよ?」
唇が塞がれ、舌を招き入れる。口を塞がれたまま背中を支えられて押し倒された。覆いかぶさる隼人の背に腕を回す。
隙間なくピッタリ合わさった口の中で舌を絡め合う。微かにチョコレートクリームの味がした。
気持ち良いところを沢山愛撫される。密接する口内で喘がされ、徐々に力が抜けていった。長いキスで蕩けてしまったところで、ようやく唇が離れた。
大好きな隼人とのキスでポワポワする頭を優しく撫でられる。
「もー、これ以上は無理! 我慢できなくなっちゃう」
隼人は俺の上から素早くおり、腕を引いて起き上がらせてくれた。
唾液で濡れた口元もティッシュで拭ってくれた。
「我慢しなくてもいいじゃん」
口を尖らせて隼人を見る。
「そんな事言われると困る。家に親いるんだから」
「えっ? 俺はキスの事言ってんだけど?」
「あのままずっとキスしてたら、僕がその先に進みそうになるからダメって事!」
隼人の言葉に顔を赤くする。キスが気持ち良すぎて、もっとキスをしたかった。その先の事なんて考えてなかった。明日するって頭にあったから。
「大地、ケーキ食べよ?」
「うん、食べる」
火照る顔を扇ぎながら頷いた。
「はい、大地もあーん」
あーんと口を開けて隼人のケーキを一口ずつ食べさせてもらう。うん、美味しい!
「隼人、ありがとう」
「何が?」
「俺の事好きになってくれて。1ヶ月記念やろうって言ってくれて。すごく嬉しい!」
「僕も嬉しい。大地が僕を好きになってくれて。ありがとう」
ケーキを食べ終わると、隼人が自分の口の端をトントンとした。キスしろって事かな? 身を乗り出してチュッと触れる。離れると隼人は目をまん丸にして固まっていた。……何か間違えた?
「大地の口元にクリーム付いてるの教えたつもりだったんだけど」
「えっ?」
指先で拭うと少量のクリームが取れた。恥ずかしい。
「もう、僕を萌え殺す気? あんまり可愛い事しないでよ」
熱い、と隼人が頬を押さえる。
「ごめん。でも隼人にはクリーム付いてないから大丈夫!」
「別にクリームくらい付いてもいいよ。やっぱりもう1回して。嬉しかったから」
隼人がトントンと口元を叩く。おずおずとトントンとした箇所に口付けた。離れると隼人も同じ場所にキスをくれる。
目が合うと整った顔がはにかんだ。その顔に俺も照れる。美人で可愛いとか本当にずるい。
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