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ベッドに横たわって、布団の中で指も足も絡めてピッタリ張り付いて話していたけれど、いつの間にか眠っていた。
カーテンの隙間からもれる明るい光で目が覚めた。
目の前にある、まだ瞼を閉じている隼人の寝顔に鼓動が跳ねた。目覚めてすぐに隼人の顔があるのは幸せだけど心臓に悪い。綺麗すぎて困る。
……キスしたいな。してもいいかな?
触れるだけで離れると、ふふっ、と笑われた。瞼を開けた隼人は朝から甘い笑顔を向けてくる。狸寝入りされていた。
「いつから起きてたんだ?」
「大地が起きる30分くらい前かな?」
「起こせよ!」
「寝顔が可愛くて起こせなかった。起きたら起きたで可愛い事してくるし、僕の顔緩みっぱなし」
「恥ずかしいから言うな!」
顔は絶対に真っ赤になっている。隼人の口を両手で塞いだ。そっとその手を外されて握られる。
「恥ずかしくないよ? 僕もしたし」
「したって何を?」
「寝てる大地にキス」
それなら起こして欲しかった。隼人のキスを覚えていないなんてもったいない。自分の事を棚に上げて唇を尖らす。隼人がチュッと音を鳴らしてキスをする。目を丸くすると隼人は首を傾けた。
「キスして欲しかったんじゃないの? 口、突き出してたから」
違ったけど嬉しかったから許す。
「朝ごはん食べようか? 僕が作るから」
「隼人料理できないじゃん」
「大丈夫! 大地みたいに上手くは出来ないけど、今日は1日僕に甘やかされてよ」
髪を撫でられ額にキスをされた。
キッチンにエプロンをした隼人が立っている。俺の美人妻って感じがたまらない。
「なぁ、動画撮ってもいい?」
「いいけど、緊張するな」
スマホを向けるとこちらに向かって手招きをする。もっと近くで撮れって事だろうか? 一歩踏み出すと隼人がスマホに顔を近付けて瞼を閉じる。チュッとリップ音を響かせて離れていった。
ものすごいサービスショットにスマホを落としそうになった。ドキドキと鼓動がうるさい。
こちらの気も知らないで、隼人は涼しい顔で卵を割った。
「あっ!」
殻が入ったようで、一生懸命菜箸で取ろうとしている。不安だ。殻を取り除くと混ぜて卵を焼く。割としっかりめに焼いたスクランブルエッグができるが、味付けは全くしていない。
切り込みの入ったコッペパンをトースターで温めてる間にウインナーを焼き始めた。ウインナーを放置して冷蔵庫を漁り出したから動画を止めた。
「隼人、ウインナー転がさないと焦げるよ」
「あっ、そうだね」
フライパンを振るのではなく、一本ずつひっくり返している。
「俺も手伝っていい? 一緒に作りたい」
「僕ってそんなに料理ダメかな?」
「ダメっていうか、俺が隼人と一緒に料理したいの」
ダメかダメじゃないかで言えば、ダメだと思う。でも俺のために一生懸命作ろうとしてくれるのは嬉しかった。一緒に作りたいのは本当だし。
「じゃあさ、大地はキャベツ千切りして? 僕がやると分厚くて千切りにならないだろうし」
「任せろ! コッペパンでサンドウィッチでも作るのか?」
「うん、ホットドッグとたまごサンド。」
手を綺麗にしてキャベツを刻む。ウインナーを焼き終わった隼人はレタスを洗ってちぎった。
コッペパンに炒めたキャベツを敷き詰め、ウインナーを乗せる。レタスを敷いて卵を挟んだ。ケチャップを掛けたら出来上がり。
味付けはケチャップのみ。でも、初めて一緒に作った料理だから、すごく美味しく感じた。
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