前編

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前編

 俺の幼馴染の美少女ミズキが、教室の前の廊下で「秘密だよ」と、廊下と教室から顔を覗かすクラスメートに言った。それで歓声が湧いた。真っ赤になるミズキと俺。  なんでそうなったかについて、今朝のホームルーム前まで時間を遡って、これから話そうと思う。  俺は高校2年生だ。ゴールデンウィーク前の教室で勉強するふりをしていた。俺の席は、窓側の一番後の席だ。俺の名が大塚だから、名前の順でこの位置になった。勉学に励むふりをしながら、俺の前の席で、女子たちが会議しているのを聞いていた。    ――彼女たちの議題は恋愛だ。  会議をする彼女たちのグループは、クラスではカースト最上位だ。このグループの構成メンバーは5人だ。  その5人の中に俺の幼馴染のミズキがいる。俺の観測からすると、ミズキのグループ内での地位は低いと思われた。しかし、美少女という点においては、学校きってのトップオブトップだ。そんな美少女ミズキと、俺みたいな陰キャでフツメンの男が仲良く出来るのは、幼馴染の特権だ。    ――しかし俺は身の程を心得ている。俺ごときが友達の線を超えて、付き合える女ではないのだ。好きだけど、俺はミズキを見守るいち幼馴染としての、役割を全うすると決めている。そして、ミズキが好きな人と結ばれた日には、悲しいけれど心から祝福しようと決めている。以上俺のお気持ち表明(辛)
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