後編

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「いやー。悪かった。本当は俺たちが止めるべきなのにさぁ。イーチを止めてもらってよかったよ」 「ありがとな。喧嘩が面白くて、つい見ちゃったよ」  ――え!  俺は意外なセリフに驚く。  ――もしかして、良い人?  取り巻きの1人が言う。  「女子に手を出すと思わないから、油断したよなぁ。女子に手を上げるなんて、男として最低だよ。イーチが殴ったら、女の子が壊れちゃうから」  「もう行こう。イーチ。ホームルームが始まるぞ」  「喧嘩したら大会に出られなくなるぞ」  イーチのとりまきが、俺の腕からイーチの手を離させた。  「イーチは、手間かかるなぁ。早くそのカッとする癖直して。それでバスケの試合でボロボロになって、監督に怒られるんでしょう?」    取り巻きの1人がサエに謝罪する。  「本当、ごめんね。イーチは、パッケージは良いんだけど、中身ペラペラの小学生レベルだから。イーチ、女子にブスとかキショいなんて言うなよ。謝れよ」 「そそ、サエちゃん、可愛いじゃん。ブスじゃないから。ピンク超似合ってる。俺と付き合ちゃう?」  俺は心の中で叫ぶ。  ――つまりなんですか? この方々は取り巻きじゃなくて、お世話係ですか? しかも異常な陽キャだ。    お世話係がイーチを説得して、イーチが謝る。  「すいませんでした」  ハンサムなサエが言う。  「許す」    こうして(いさか)いは呆気なく終了してしまった。 ----- 明日最終編です
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