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「いやー。悪かった。本当は俺たちが止めるべきなのにさぁ。イーチを止めてもらってよかったよ」
「ありがとな。喧嘩が面白くて、つい見ちゃったよ」
――え!
俺は意外なセリフに驚く。
――もしかして、良い人?
取り巻きの1人が言う。
「女子に手を出すと思わないから、油断したよなぁ。女子に手を上げるなんて、男として最低だよ。イーチが殴ったら、女の子が壊れちゃうから」
「もう行こう。イーチ。ホームルームが始まるぞ」
「喧嘩したら大会に出られなくなるぞ」
イーチのとりまきが、俺の腕からイーチの手を離させた。
「イーチは、手間かかるなぁ。早くそのカッとする癖直して。それでバスケの試合でボロボロになって、監督に怒られるんでしょう?」
取り巻きの1人がサエに謝罪する。
「本当、ごめんね。イーチは、パッケージは良いんだけど、中身ペラペラの小学生レベルだから。イーチ、女子にブスとかキショいなんて言うなよ。謝れよ」
「そそ、サエちゃん、可愛いじゃん。ブスじゃないから。ピンク超似合ってる。俺と付き合ちゃう?」
俺は心の中で叫ぶ。
――つまりなんですか? この方々は取り巻きじゃなくて、お世話係ですか? しかも異常な陽キャだ。
お世話係がイーチを説得して、イーチが謝る。
「すいませんでした」
ハンサムなサエが言う。
「許す」
こうして諍いは呆気なく終了してしまった。
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明日最終編です
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