完結編

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サエは俺を同情したような顔で見た。  「大塚はよほど自分に自信がないんだな。もっと自分に自信を持ち給え。大塚のいいところ、ミズキはちゃんと見てくれてんぞ!」  そう言われても、俺は基本後ろ向きだ。  「俺に良いところなんてないよ。地味だし、背は標準より少し低いし、運動苦手だし。イケメンでもないしさ。モテたことないし」    「大塚はいつもミズキの側にいて、ミズキが困ったら急かさずゆっくり話しを聞いて、ミズキが悲しんでいたら寄り添っているんだろ? それも子供時からずーっとなんでしょう。それってミズキを尊重して大事しているってことだと思う。あたしは、それってすごいと思うけど」  俺は納得しない。  「大事な人を大切にするなんて、そんなの普通だろ」  サエが不敵に笑う。  「普通が案外難しいよ。私なんか歴代彼氏に雑に扱われ続けてきた」  「え? サエは彼氏いたことあるの?」  意外な話に俺は驚く。  ――しかも歴代って、それ複数元彼がいたってことだよね?  サエが不服そうに言う。  「あるよ。なんか文句ある?」  「いや、文句はありません」  「ともかく、大塚は自分に自身を持て!」  サエが俺の背なかを平手でバンと叩いて、カラカラと笑う。そしてハンサムなサエは、また先頭集団に戻っていき、ミズキに何か言う。  
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