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すると今度はミズキが俺の隣下がってきた。
「話って何?」
「話ぃ?」
いったい何のことか、俺には謎だ。
「うん。サエちゃんから、大ちゃんから大事な話があるから、大ちゃんと話して来いと言われて」
俺がサエを見る。
サエが声を出さずに、口パクした。
「言え! 告れ」
俺はやられたと思う。
――良いやつだと見直したが、サエはやっぱりサエだ。
とは言え、後、数メーターで教室の戸口だった。告白はできそうにない。
――俺は少しホッとする。
イマイシは既に教室の中に入り、ヨシマイとアサカワも教室の扉に吸い込まれて行くのが見えた。
その後をサエが続く。しかしサエは教室に入らず、扉前で立って俺とミズキを見ている。
俺とミズキが扉の前に着くと。サエは笑みを浮かべ、「告れ!」と言い残し、自分だけ教室に入って、教室の戸を閉める。閉められていく戸を見ながら、ミズキが「あー」と声を漏らす。俺が扉に手をかけて引いたが、びくともしない。中から開かないようにしているようだ。
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