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「住む世界が同じだから、今こうしてここで一緒に料理を食べているんだよ」
「うっ……………でも……、でも…罰が当たりそうで怖い……んです」
「………ボクと一緒にいて、まこは不幸なことが起こったの?」
悲しそうに見つめられて狼狽える。強気な態度を心がけてたけど、私は詰められると弱いらしく、自分の考えがわからなくなる。
「………ううん………まぁ、起こってないけど……」
毎日のラインのやり取りだけで楽しくて、ずっと幸せだった。
「……………両親にはいろいろな経験をさせてもらったし、好きなことに対してのめりこめるほどの環境を与えてもらったことは確かだよ。
でも、人と向き合うときに親の地位を使おうと思ったことはない。ボクが世間でどう思われようと、それは他人が決めたちっぽけな価値観なんだよ。
それよりも、まこ自身の価値観で見てほしいな。一緒にいて、まこがどう思ってどう感じたか、それが一番大切じゃない?まこはボクと過ごしてみて、ひっかかることはあるのかな?」
正論といえばそうで、私の思考回路ではそこまでちゃんと考えられてはいなかった。
____そうだ、私は御曹司って言うただの肩書だけで恐れ多くなって、リアム自身のことをちゃんと考えていなかった。凝り固まった思想をしてるのは私の方だ………。フラットな視点で、しっかり彼を見なくちゃ。
優しい言葉、見た目に反して柔らかい物腰、何よりいつも励ましてくれる。会うのはまだ二回目だけど、でも一緒にいて嫌じゃないから、ひっかかることなんて一つもない。
「………………ううん。今のところはないです」
「……なら、続けてみよう。これからまた引っかかることがあったら言ってみて」
リアムは優しい声音で私に訴えかけてきた。きっと隣にいてくれるだけで心の支えになる。ただやり取りをしただけでも、心を支えられたのは確かなのだから。
結局言いくるめられてしまった。
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