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私がそう言うと、リアムは「おいで」と手を広げていた。少し戸惑いつつ、えいっと胸の中に身を寄せてみると優しく包まれた。密着する感覚がむず痒い。こんなの友達や妹とするハグとはぜんぜん違う。
いい匂いで麻痺しそう。
リアムの頬がちょうど耳に当たる。思っていたハグと違う。こんなハグしたことない……。
私も手…て……手……とか回すんだよね?
恐る恐る腰に手を回してみる。密着した部分が心地よくて、なんか頭がくらくらしそう。
でも、これは海外じゃ挨拶みたいなものだもんね。リアムにとっては普通のことなんだよ。それを私のペースに合わせて確認してくれて、本当に優しいな……。
背中に回された大きな手の感覚、胸の鼓動、落ち着く匂い。それを感じると気持ちが柔らかくなる。おまけに頭を撫でられると、無償でご褒美もらってるような気がして胸が詰まって泣きそうになった。
優しい手、温かい身体、なんだか心に染みる。ぐすんと涙をすする私にリアムが反応する。
「……嫌だった?」
「ううん、違うの。破壊力がすごくて………」
「ハカイリョク?____なに?」
「……つまりはとっても嬉しかったの!」
私は顔を真赤に染めながらも、勇気を出して素直にそう言ってみた。そうすると、リアムはくすくす笑って優しい視線で見つめてきた。
「……よかった。ボクも嬉しいよ」
この人はどうしてこんなに幸せそうな顔をしてるのかしら___。
「………あ……あの、またやってくれたら嬉しいです」
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