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●お礼のハグ
吉祥寺の映画館で、まさか解散を言い渡されるなんて思ってもみなかったけれど、なんとか一緒に作ることを取り付けた。
映画を一緒に見るだけで、軽く解散を言えるくらい、まこの中ではうすっぺらい関係なんだと突きつけられる。それはわかってたことなのに、結構傷ついた。
ずっと戸惑いながら、ただ付き合ってくれているだけ。
材料の買い物をしているとき、まこは家のことを軽く話してくれた。母親が12年前に亡くなってから、年の離れた妹のことを面倒見てきたらしい。
いろんな感情が、彼女の中にはきっとあるはずなのに、周りにはそう思わせないようにしてきたんだろうと推測でした。きっと、そうやって自分のことは後回しにしてきたんだろう。
家につき、二人でご飯を作りまじめる。
まこは、髪を結いて手を洗っていた。「これ切ればいいよね」と、用意した包丁をとって手際よく野菜を切り出していた。鍋をカップボードから取り出すと、まこは、すでに切り終わった野菜をその中に放り込んでいた。かなり手際がよく、慣れていることが伺える。
女性とご飯を作る経験は、そういえばいままでなかったな。
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