●向日葵のような笑顔に恋をした

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 そういって、女の子は行く先を指さして歩きだした。繁華街は、いろいろなイラストのポスターや広告が沢山貼られている。  言葉が通じないのに、戸惑いながらも頑張って助けてくれた。様々な場所に海外旅行にいったけれど、こんな親切にしてもらったことなかったな。この子はきっと、お人好しなんだろう。  先を歩く女の子のポニーテールは揺れている。 話は、聞き取ってくれている様だったので、名前は聞けるだろうか。名前を聞いて、連絡先を……、あと何ができる?  日本にいるのは一週間ほどで、星空のある街には3日間、その後は京都に3日間。もう一回会うのは無謀だな………。  もう会えないなら、せめて名前と連絡先は知りたい。 「Please tel「のいるちゃんだ!かわいいー!」  彼女はアニメショップの店頭にあるディスプレイに映る可愛らしいキャラクターを見かけてそう言っていた。 「FSシリーズ新作来年かぁ。お金貯めなくちゃ。楽しみだなぁ」 「まほチェリアニメもうちょっとじゃん!録画予約しなくちゃ」  いろんなものをみては、楽しそうに反応していて、一人の世界に入り込んでいるらしいのが伝わった。話しかけるのは、立ち止まってからにしようと思い、楽しそうな後ろ姿をただ見つめながらついていく。  駅までつき、スマホのバッテリーを確認した。女の子は画面を覗き込み、ホッとした表情をしていた。 「あ、よかった。20%だ。……てか、やばっ!こんな時間なの?!病院間に合うかな……」
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