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急に慌てだしていた。なんだろう?
「Thank you for lending me」
そういって素早く鞄に充電器をしまっていた。
「Pleas「わたし、もう行きますね!」
女の子はお辞儀をして、足早に改札を通っていった。何を言ってるのか全然わからないが、急いでいるのは態度で伝わってきて、名前や連絡先をのんびり聞く時間はないようだった。
これで終わり______、仕方ないか。
「……ブロンドヘアのお兄さん!」
改札の前で俯いていると、女の子の声が聞こえてきた。改札のほうに視線を向けると、手を上げて思い切り振っている。
「エンジョイ サイトシーイング!バイバーイッ」
そういって、向日葵のように明るく元気な笑顔を向けている。その顔を見て、世界の全てがキラキラと輝いているような感覚がした。
手をおろし、そのままくるりと背を向けて駆け足で人の中に紛れて消えていく。そんな彼女を思わずスマホで撮影した。
後ろ姿も小さくて、きっと見返したときにどれがその子だったかなんて忘れてしまうかもしれない。
連絡先も、名前さえ聞けなかった。
しかも一緒に過ごしたのたった1時間程度。20年ほど生きてきた人生の1%にも満たない時間だ。
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