●ただ隣にいてみたい

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 まこはきょとんとして、頭に?を浮かばせていた。でも今はまだ、この言葉の意味を知らなくていい。スマホを持つ手を抑えて、首を横に振った。 「昨日もお話しましたが、ワタシを利用しませんか?」 「?!?!?!」  やはり昨日のことは覚えていなかったらしい。大きい目を更に大きくして、飲みかけたコップをテーブルにおいていた。しばらく伏し目がちになり考えてから、僕のことを心配そうに見つめてきた。 「………えっと…………頭打ってませんか?」 「?……どういうこと?」 「頭強く打ってませんか?毒薬飲まされたり、昨日居酒屋で変なものを食べたりしてませんか?」 また、本気にとってもらえなかったらしい。 「どれもしてませんよ。ワタシはあなたのことを美しくて素敵な女性だと思っていますし、助けたいと思ってます。それに、ワタシのことを悪くは思ってませんよね?取材の日、隠れて写真を撮っていませんでしたか?」  あのとき、カメラを向けられていることには気づいていた。外国人が珍しかったんだろうか。写真に収められるくらいなんだから、悪いように思ってはないだろう。
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