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「………よろしくお願いいたします。リアムさん……先生?」
嬉しくなって、頬が緩むとまこは同じように笑っていた。
よかった。これで、彼女の隣にいる理由ができた。片思いの彼の言葉のおかげということが少し癪に触るが、そんなこと気にならないくらい嬉しさがこみ上げていた。
この関係は、きっといつか自分を締め付けるんだろう。そうとわかっているのに、まこが了承してくれたことが嬉しくてたまらなかった。
お互いに自己紹介を詳しくした。
澤井まこ。28 歳でアニメ会社で制作進行という仕事をしているらしい。
いわゆるオタクで、本当に昔から大好きで、関わりたいという気持ちから業界に飛び込んだと教えてくれた。会社の話をするまこは、大変な業務で寝ずに働いたり、理不尽なことも多いと話しているのにとても楽しそうだった。
そのあと、渋谷の街を一緒に散策した。手を繋いで歩く彼女の細い指や、柔らかい手が握っていてしっくりくることに驚いた。
彼女の大好きなアニメの専門店に行くと、キラキラした楽しそうな表情をしていた。関わったアニメの原作漫画や、販売グッズを俺に見せては楽しそうに仕事の話もしてくれた。
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