私と掛け合わせたらいけない人

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 吉祥寺は快速で二駅、リアムを待たせるわけにはいかないから、予定時間より10分早めについた。改札を出て案内板のところに立ち待つことにする。ドキドキが止まらない。  これから会う人は、海外では有名なイケメン御曹司らしい。私にとってはイケメンと言うより、美男子だけど___。  そのことを考えたら、リアムとはまともに会話が出来ない気がしてきた。  そのことについては考えることを放棄して、明日の美容院でどんな髪にするか、を考えることにした。おしゃれな髪色で検索をかけると、様々な髪の色を確認しつつ気になるものを探していく。  今は髪を伸ばしたい気分だから、長さは変えないで整えてもらうだけにしよう。インナーカラーにするか…ワンポイントにするか。インナーは色落ちしやすいしお手入れできない無理か……カラー入れるにしてもおとなしめかなぁ……? うーん………。  もうリアムのことも夕ご飯のことも忘れて、明日の美容院でお願いする髪型で頭をいっぱいになっていた。 私は、そういう単純な人間なのだ。  髪型に長考していると、目の前が少し陰った。見上げると、リアムが私のスマホの画面を覗き込んでいる。 「まこ、早いね」 ぎょっと驚いて思わず後ずさりをしてしまった。
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