私と掛け合わせたらいけない人

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 意識を映画に集中しようと思えば思うほど、意識してしまってドツボにはまる。そしてそのままエンドロールまできてしまった。 物語の半分も理解できてないや……。  エンドロールが終わり、シアター内が明るくなった。お互いにコートを羽織って場内から出た。ポップコーンとジュースの空容器をスタッフに渡して映画館から出ることにした。 「面白かったよ。誘ってくれてありがとう」 映画館から出ながら、リアムはそう言ってくれた。 「………あ、本当?……………シバさまが主役で面白かったね。」 何となく、わかってる内容がそれだけだった。 ………もー、どうして私はリアムと行こうと思っちゃったんだろう。もう一回見に行かないと内容なんてわからないよ。 「……楽しめなかった?」  私がしどろもどろな返事をしていることにすぐ気づかれた。察しがいいのは経験値が高いからかな? 「ううん、違う!違くないけど___違うの!」 リアムの頭に沢山の?が浮かんでいるのは、表情を見てよくわかる。でも、私は自分の乱れた心を素直に説明はできなくて、変な空気が流れてしまった。
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