年齢確認が必要な商品です

お昼の混雑の時間はとうに過ぎ、レジに待ち列はない。ゆったりとした足取りでレジに向かう。店員にカゴを渡し、流れるようにホットスナックを注文する。ホットスナックの選択で迷って、店員に客の年齢を気にする隙を与えてはならない。

「……以上で。」
「お箸はおつけしますか？」

虚をつかれる。納豆巻きに、チキンナゲット、アメリカンドッグのラインナップで、箸だとーー？

「……いらないです。」

焦った。が、冷静に対処できた。

店員は商品のスキャン作業に入る。ビールをスキャンしたとき、『年齢確認が必要な商品です。』という無機質な声とともに、タッチパネルに成人であることの確認ボタンが表示される。強すぎず弱すぎず、絶妙な力加減で素早くタッチした。店員は続けてホットスナックの購入情報をレジに入力している。これでミッションクリアに思われたのだがーー

「あ、すいません。身分証の提示をお願いします。」

普通に聞かれた。