言の葉ビール

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「言の葉ビールはいかがですか」  花見の場所取りで一番乗りできたのは良かったものの、急にスマホが圏外になってしまい途方に暮れていると、頭上から低い声が降りかかってきた。  はたと顔をあげると、背の高い男がこちらを見下ろしていた。  真っ白い髪と眉毛に青い瞳、銀色のつなぎに身を包み、背中には球場でよく見かける大きなビールサーバーを背負っている。  ……えっ?  思わず声には出さず呟くと、男は手品のような手つきでカップをどこからともなく取り出した。   "カップ"といってもお馴染みの透明なプラスチックのカップではない。  それは子供の頃にフードコートで親に何度もねだった、可愛らしいイラストが側面に描かれているフライドポテトを入れる器だった。 「……えっ、なんで?」
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