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中待合室のソファに腰掛けているのは、髪を巻いた見た目が派手な少女であった。
冷泉姫華。
ヒカリが通う蓮乃宮女学院高等部の同級生であり、積年のライバルでもある。
冷泉家が勝手に胡桃沢に突っかかってくるのだ。祖父の代よりもっと前から続く因縁だ。
「姫華。アンタ、どうして私の真似ばかりしてくるのよ」
「失礼ね。真似しているのはそっちじゃなくて?」
つい先日。ヒカリは、蓮乃宮女学院へ教育実習に来ていたピアノ男子のショッキングな秘密を知ってしまった。
時を同じくして、大人気のイケメンピアニストの不貞その他も明るみに出た(シリーズ②参照)。
両者に淡い気持ちを抱いていたヒカリはショックで寝込み、北白河の往診を受けた。
ヒカリは彼に一目惚れ。
ピアノ男子たちのことなどケロッと忘れてしまった。
実は、まったく同じことが冷泉家でも起こっていたのだ。
ピアノ男子の教育実習が終わってしまったため、姫華は裏から手を回して彼の家を調べた。その過程である秘密を知る。
イケメンピアニストの不貞その他も重なって卒倒した姫華は、やはり北白河の往診を受けたのだった。
そして、彼の魅力にすっかりやられてしまったというワケである。
「ここは代々、胡桃沢のかかりつけなの」
「冷泉はそっちより前の代からですわ」
「嘘おっしゃい」
風邪が長引いているから。
ちょっと頭痛がするから──。
何かと理由をつけては、競うように通院する二人。
北白河の大人な魅力にすっかりハマった彼女たちは、仲が良いのか悪いのか。
女子高生が病院に入り浸るなど年寄りくさいことこの上ないが、当人たちは必死である。
と、診察室から声が漏れてきた。
「はい。また来ます! ありがとうございましたぁ、誠先生♡」
前の患者が診察を終えたらしい。診察室の真っ白な引き戸が開いて、ご機嫌な様子の女性が出てきた。
「あ、冬子さん」
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