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「そこの護衛。生徒用の席に座らないで!」
教師から鋭い声が飛ぶ。
この学院は、護衛がだらしないと怒られるのである!
ここに通うお嬢様たちの座席は、特注の超高級ソファだ。
カゲはここで寛ぎながら、ヒカリたちの話をしっかり聞いていたのであった。
(やべーことになってる……)
しかし。
カゲは首を傾げた。
(尿意が来ねえんだよな。本当に大丈夫なのかな?)
ソファの上にあぐらをかく。
「聞こえていないのですか!? 生徒用の席に座らない!」
教師は相変わらずヒステリックな声を上げている。
(ジジイどもも黙って見とけとか言うし……どうなってんだ?)
尿意に悩まされないことに、解放感はあった。
しかし、元々あったものがないと変な気分になってくる。
「泥棒さん、降りて!」
鈴木さんが呼びに来た。
「泥っ? 何を言っているのです!?」
「あ、申し訳ありません」
とばっちりを食う鈴木さんである。
「アータたちは胡桃沢さんの……? 名門の家の護衛がそんなでどうするのです!? 大体アータたちはいつもアータラコータラ」
教師からの説教は続く。
事は、動き始めてしまった。
尿意が来ないまま。
それでも時は経ち、週末がやってくるのであった──。
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