泥棒の小細工と、箱入り令嬢の目覚め

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 「良かった、お詫びができて」  爽やかな笑顔にキラキラが飛ぶ。  「お、お詫びだなんて、そんな」  「あ、これ」  彼は背中に隠していたものを手前に持ってくると、空いた手をツナギでゴシゴシと拭った。  「俺が初めてアレンジしたものなんだけど、良かったら受け取って」  「まあ、きれい」  ヒカリの顔がパッと輝いた。  彼がヒカリに手渡したのは、ミニサイズのブーケだ。  赤いバラがラウンド状に配置され、オシャレな包装紙に包まれている。  「どうもありがとう! あなたは、お花屋さんなの?」  「これからなるんだ」  照れ臭そうな笑顔の破壊力たるや──。  「素敵。私、きっとお買い物に行くわ」  潤む瞳は、すっかり恋する乙女のそれである。  「ああ。待ってるよ。それじゃ!」  「がんばってねーっ!」  清涼感あふれる出会いのすぐ横で、カゲは内股でステップを踏み続けていた。
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