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鶯が鳴く庭。
柔らかい日差しが降り注ぐ縁側に、私はるなちゃんと一緒に座っていた。
高校の帰り道に本家の屋敷に寄ったものだから、今の私は制服姿。
対して隣に座る女性は本家の令嬢らしく華やかな着物を身に纏っている。
「るなちゃんいつもきれいな着物着ているよね」
失礼だと思いながらも、つい頭のてっぺんからつま先まで見てしまう。
すると、彼女はちょっと困ったように微笑んだ。
「久しぶりに家に帰って来れたから…。
お母様もお父様もいつも張り切っちゃうの」
そう言って、少しはだけていた裾をそっと直す。
女性らしいその仕草、すらりと細く長い指。
男性が見たらきっときゅん死にするだろう。
『ホー…ホケッキョ!』
練習中なのか、鶯が変なリズムで鳴いた。
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