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性格がキツそうとか、顔がタイプじゃないとか、スタイルがどうとか、この期に及んで理想ばかりを掲げている。山奥でのんびり紅葉踏み分けながら、きゃんきゃん鳴いている鹿を見てたら、まるで自分の写し身を見ているようで、だんだん哀しくなってきた。鹿なんか呑気に眺めている場合じゃない。書を捨てよ、街へ出よ。いまこそ一歩を踏み出すときだ。 「奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声きく時ぞ秋は悲しき(猿丸太夫)」
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