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冬の夜空に燦然と輝く星々がつくる(てん)の川。まるで白霜のような光の粒の煌めきに思わず息を呑んでしまう。もしかしたらと思い、見上げるままに視線を泳がす。でも、そこに彼の姿はない。白い息を吐きながら、視線を戻す。ほどけたマフラー、駅舎の街灯、コンビニの前。こんなところに居るはずもないのに。私はまだ、七月の君を、その面影を探している。 「かささぎの渡せる橋におく霜の白きを見れば夜ぞ更けにける(中納言家持)」
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