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『星空の下で』
星空の下で、君は白い息とともに呟いた。
「今日も星が綺麗だね」
それは僕に言った言葉だったのかもしれないけれど、僕は無視した。
「もうだいぶ寒くなってきたから、そろそろおしまいにしないといけないかもね」
僕は常々そう思っていたのでつい同意しそうになったけれど、ぐっとこらえて無視を続ける。
「じゃあ、またね」
そう言って君は僕を振り返ることなく家へと帰って行く。
やっと彼女が帰ってくれたことに安堵して、ため息をつきながら下を向く。
彼女が約二月程前から、毎日欠かさずに供えてくれる花とお菓子が見えた。
本当はずっと彼女のことを見守っていたいけれど、それはきっとお互いのためにならない。
だからそろそろ、本当にそろそろ行かないと行けない。
「はぁ」
もうすでに白くなることのない、ため息を吐いて。
彼女が綺麗だと言った空へそっと向かい始めた。
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