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 冒険者ギルドにクレアスと一緒に入る。建物の中は雑然としていた。 「オッサンばっか!」  あっ、つい本音が。 「しかも何か、むさ苦しいし!」  更に本音が転がり落ちる。  失礼この上ない叫びにクレアスが苦笑い。 「まぁ、否定はしねぇけどよ。せめてお兄さんと呼んでくれ。それか胸の内に仕舞ってろ」  二人のやり取りが聞こえたのか、皮の鎧を来た無精髭の男が近寄ってきた。 「おう。クレアス。そっちのお嬢ちゃんは何だ? お前の連れか?」 「んなわけあるか! こいつは…… そういやお前、名前は?」 「ん? あれ。自己紹介まだだっけ?」 「あぁ」 「コウメだよん。コウメ・タチバナ。よろしくね。クレアス」  そう言ってクレアスの肩を叩く。このやり取りを見ていた冒険者たちが大声を上げて笑い始めた。 「あっはっは。クレアス! 随分と仲がいいじゃねぇか。お前にそんな趣味があったとはな!」 「ちげぇよ! 何か知らんが懐かれたんだ! そんなんじゃねぇよ!」  男たちがワイワイと騒ぎ出す。その中心にいるのは私だ。  でも、どうでもいいので、それらに一切構うことなく受付カウンターへ。  クレアスが叫ぶ。 「お前も何か言えよ!」 「クレアス?」 「あによ?」 「これからもよろしくね?」 「ふざけんな! 誤解されてんだよ。否定しろ!」 「どうでもいいじゃん。言いたいやつには言わせておけば?」  そう言って、カウンターに座るお姉さんに振り向いて声をかけた。後ろでは男達の笑い声が聞こえる。 「登録したいんですけど?」  私の態度に受付のお姉さんは苦笑いを浮かべながら言った。 「はい。あの……」 「なんですか?」 「何か。凄いですね」 「そう?」 「普通あんな態度は取れませんよ?」 「かもね。まぁそれは良いからさっさと登録をお願い」 「あはは…… はい」  これで喧嘩でも起きようものなら、ギルドとしては止めに入るが、仲良くやっているようなので問題ないと判断したようだ。 「それでは冒険者ギルドの説明を始めますね」  そう言ってお姉さんは説明を始めた。 「まずは、ギルドの信用ランクです。これは大きく分けて鉄級。銅級。銀級。金級。白金級とあります。そしてそれぞれにもまたランクがあります。最下級ですと鉄級の星1。次のランクが鉄級の星2。鉄級で最高ランクが鉄級の星3といった具合です」 「ランク分けに何か意味があんの?」 「はい。請け負える仕事に差があります。鉄級は街なかでの仕事が主です。銅級になると街の近場での仕事も出来ますしダンジョンへ入ることも出来ます。銀級は街から街への移動が可能になります。つまり護衛や配達の仕事ですね。金級は仕事での色々な制限がなくなります。白金級は何か特別な功績を打ち立てた人の名誉職です。いわば称号ですね」  ふぅん。まぁ生活が出来れば、どうでもいいや。  私の態度が原因なのか、受付嬢が涙目だ。 「白金級となるとヘタな貴族より尊重されるんですよ!」  しかし、やはりどうでもいいやとばかりに、話を先に進めて下さいと流した。お姉さんはがっくりと肩を落としながら話を進めてくれた。 「……えっと、それではですね、これに記入をお願いします」  そう言って一枚の薄茶色の植物紙を出した。私は、この世界の字が書けないので、紙をお姉さんに返す。 「代筆をお願いします」 「はい。えっとお名前と年齢をお願いします」 「コウメ・タチバナ。18歳です」 「え! 18歳?」 「悪い? 見えないって? 知ってる。でも事実。18歳だから!」  私の機嫌が底へ直行したのを見て、受付嬢が慌てて登録を始める。 「は、はい承りました。それではコウメ様は鉄級の星1からですね。しばらくは街なかで仕事をなさって下さいね?」 「はぁい」  こうして私は冒険者ギルドに加入した。 「さってと。宿を決めて明日から仕事だね! がんばるぞー!」
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