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はじまりの赤
月が赤い・・・そして2つも憂鬱そうに
月が浮かんでいる。
こんな夜は特別な用事でもない限り
早く家に帰って寝るに限る
ここはフルダイブ型VRゲーム
トワイライトの中だ。
ただし、トワイライトは他のゲームとは
システムが異なる。
ゲームの中でも、味覚や嗅覚
物にさわった感じなどが
現実世界と同じに感じる!
いや!現実以上といっても不思議で
ないほどだ。
結果、トワイライトの中の通貨は
ゲーム外でも価値を持ち
ゲーム内のアイテムがゲーム外で
売られるようになった。
このトワイライトを初める為に
初期投資がかかる。
まずはトワイライトにアクセスする
ためのカプセル
そして最初にゲーム内の自分のアバターを
作るお金がかかる。
アバターは知ってる限り
スタート時点でおよそ3種類のガチャを
ひく、そしてガチャで引き当てた
アバターを自分としてトワイライトで
使う。
もちろん甘くない。
ガチャは金、銀、銅とある
銅が10万円 銀が100万円 金が1000万円
一回引くのにかかる。
スタート時点だけガチャの結果が
気に入らなければ、引きなおしが
できる。
もちろん引きなおしには
引きなおした回数分のお金がかかる
値段の高いガチャを引けば引くほど
初期能力値の高いキャラクター
種族、ジョブなどが優遇される。
お金さえあれば夢が夢でない世界
それが良くも悪くもトワイライトという
ゲームだ。
気がつくと世の中はトワイライト中心で
回り出した。
ゲーム内で偶然レアアイテムを拾って
売れば
ゲーム内だけでなくゲーム外でも裕福に
なれた。人々の目の前から無くなって
久しいゴールドラッシュに似た
一攫千金がゲーム内にはあった。
経済の中心がゲームに移動したのも
うなずける。
「不平等だ。」ワーラビットのリガロは
つぶやいた。
「いつもの事だ。」
リガロと仲間のカロンは生産ギルドに
納品するための毛皮採取のために
街の近くの森で罠を設置していた。
「カロン聞いたか?」もちろんカロンは
リガロの話しさえ聞かずにせっせと
小動物、いや小型の魔物ようの罠を
仕掛けて続けている。
「あの最初のガチャ 金の他にも金剛とか
もっと上まであるらしいぞ。」
カロンは物憂げに答えた。
「仮に金ガチャより上のガチャが
あったとして引く金の無い俺たちには
存在しないも同然だろ。」
一瞬、お互いを見回してからリガロが
「そうだな~銅ガチャしか最初引けなかったからこその底辺、生産職しか就けない
ようなワーラビットでスタートだもんな~。」
「リガロ~愚痴ってないでサクっと
終わらせて帰ろうぜ。」
「おう!そうしよう!俺たちは戦闘能力
低い種族なんだから魔物にでも
出くわした日には・・・」
それは少し遅かったようである。
その辺の木々をざわつかせながら
何かが近づく気配がした。
リガロは頭の中で危険も何も無い
ベッドの中で寝返りをうつ自分を
思い浮かべ、胸の中で
こんな夜は本当に早く帰って寝るに限るな
そう一人愚痴った。
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