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「私が魔法の鏡になりすましていたことだって、全く気付いていなかったじゃない。なんだかユランって、思ったよりも頼りなくて、放っておけないタイプなのね。こんな私で良ければ、協力してあげてもいいわよ」
「それでは、君は私と共に……」
「私だって、ユランさえ嫌じゃなければ、結婚するのは別に……全然大丈夫だし」
「エレノア! ありがとう。一生をかけて君を大切にするよ!」
ユランの笑顔を見たのなんて、それこそいつぶりのことだっただろう。
私がこんなに髪を薔薇で飾り立てていなかったら、そのままベッドに押し倒されたんじゃなかろうかという程に、ユランは力いっぱい私を抱き締めた。
それから私たちはなんとなく式場に向かい、つつがなく永遠の愛を誓い、そして神の前で正真正銘の夫婦となった。幼馴染同士だからお互いのことは知り尽くしているし、息もぴったり。全てが滞りなく、結婚式は穏やかに終わった。
幼馴染との結婚なんて、案外こんなものなのかもしれない。
情熱的で甘い愛の言葉なんかなくたって、ユランの側にいれば心穏やかに暮らせる気がする。彼は私のことを昔から想ってくれていたようだし、私だって本当のことを言えば、ユランのことがずっと好きだった。
悔しいから、私の気持ちは彼には言わないけれど。
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