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「大輔、最近元気ないよね?」
三月三十一日の夜。電話をかけてきたのは、幼なじみの涼子だった。涼子は明るくて、すごく気が利くし、しかもちょっぴりかわいい。簡単に言えば、僕は涼子に気がある。
「元気? そんなのあるわけ……」
言いかけて、思い直す。涼子に心配をかけたくはない。
「いや、まあ、なくはないよ。ある程度は」
涼子は言った。
「ちょっとさ、これから会わない? 一緒にご飯でもどう?」
「これから?」
時計を見る。
「いいけど、もう夜の九時だよ」
「うん。だからできるだけ早く来て」
涼子に夕飯に誘われるなんて、もしかすると、運が向いてきたのかも。
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