31人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
神をも射殺すような鋭い視線を大に向けるが、大は気にする素振りもなく、門からギリギリまで体を乗り出して私に手招きをしている。
真剣で必死な大の表情。あれ、本当に私が危険なのかな、なんて思いがほんの少し湧き上がる。
「ママ—」
大の後ろからちょこんと珠が顔を出した。
かわゆい
うっかりそのかわゆさにノックアウトされそうだったが、よく見ると珠も必死の表情でママと呼んでいる。
珠が私を心配している。つまり、私は今、危険ということだ。大のときにはほんの少しだけ湧いた感情が、珠を見た瞬間に確信に近い感情になった。
「珠〜」
私は珠に向かって走り出した。必死だからだろうか、いつもよりも歩幅が大きくなっているように感じる。
進行方向、私の両眼は珠をフォーカスしているが、どうしても視野の関係で大の表情も確認できてしまう。
なぜニヤけてるんだ。
危険というのは嘘だったのか? いや、珠の表情を見る限りそんなことはなさそうだ。大はなんでニヤけてるんだ?
「沙耶ちゃん、気をつけて〜。そんなに大股で走るとスカートが捲れ上がって、おパンツが丸見えよ〜」
背後からコクアさんの声が聞こえる。おパンツが丸見えって言った?
私は走りながら、自分の下半身に目線を移した。
激しく縦に裂けたタイト気味のスカート。通りで足が遠くまで出せたわけだ。そして、走るたびに自動で上にたくし上げられていくスカートによって、今の私はおパンツの下半分が丸出しになっている状態。
「なんじゃこりゃあ」
往年の刑事ドラマの名台詞が無意識のうち口から飛び出す。
最初のコメントを投稿しよう!