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「なーにが当主よ。ただの一人暮らしじゃない」
私は生来面倒くさがりだ。オマケに努力もなるべくならしたくない。夏の海とか冬のスキー場とかお正月の初詣の神社とか、向こうからこっちに出張って来てほしいと思うくらいだ。なんなら、イケメンのライフセーバーとかスキーインストラクターとか神主がきてくれたら最高だ。そう、私は何よりイケメンが好きなのだ。
「はぁ〜、イケメンとかどこかに落ちていないかな〜」
なんて自分でも呆れるくらい稚拙なことを口に出していると、目の端に何やら動く黒い物体に気がついた。
なんだろう
お風呂という場所、湿度満点のシチュエーションで私の瞳には僅かに水滴がつき、それがレンズの効果を発揮したのか、その正体を細やかに確認してしまった。
「G————。助けて、誰か、Gが、Gが————」
イケメンの対極にあるような存在。それがG。私も人並みに女の子だ。Gを見たら、そりゃあ悲鳴を上げるに違いない。隣にイケメンがいたなら悲鳴どころか抱きついているだろう。
そんなアホみたいなことを考えていてもGはすぐそこ、私から1メートルも離れていない位置で私を嘲笑うかのように徘徊している。
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