4 吉兆ここに極まれり

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 最寄駅で降りて駅前のコンビニに立ち寄る。電車内でも感じたが、このお店でもコクアさんの姿をチラチラ見ているお客さんが多い。ほとんどの人が女優さんだとか思っているんだろうな。他人の褌ではないが、一緒にいる私まで美人になったような気がする。 「七百七十七円です」  お菓子やジュースを適当に詰め込んだ会計はまさかのオールセブン。なんの得にもならないのだけれど、なんとなく嬉しい気分になるのは私だけではないはずだ。 「あっ、これ美味しそう」  コクアさんが、レジ横に置いてあった小さなチョコレートを会計中のカゴに放り込む。 「お会計八百三円になります。こちらからクジを一枚お引きください」  えっ、クジ? 私のときはなかったぞ、クジなんて。そう思い周囲を見渡すと八百円以上お買い上げて素敵な商品が当たるクジが引けます、というポップが目についた。オールセブンで喜んでいる場合ではなかった。あと、二十三円でクジが引けたのか。  軽く後悔をしていると、コクアさんが引いたクジを見た店員が驚いたように大きな声を上げた。 「おめでとうございます。一等が当たりました。こちら景品の夢の国ランドのペアチケットになります。いやぁ、本当におめでとうございます」  なんと、夢の国ランドのペアチケットだと。今や一枚一万円を超える高級品。それを二枚も。ああ、コクアさん、私と行ってくれないかな。 「あら、ありがとうございます。今度は相方と一緒に行こうかしら」  相方って、彼氏さんのこと? まあコクアさんに恋人がいない方が不自然だけれど、一宿一晩の恩義とか一瞬期待してしまった。
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