4 吉兆ここに極まれり

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 そりゃあ、セクハラエロ神である大がニヤつくのも理解できる。慌てて立ち止まり、たくしあげられているスカートを下ろした。 「ちょっと大。なんてことするのよ」 「だから、なんかしてんのは、アイツなんだって」 「アイツ?」  大が指差す方に目線を向けると、そこには団扇を扇ぎながら、佇むコクアさんの姿があった。 「いやいやいや、大、あの超絶美人な方はコクアさんって言ってね」 「貧乏神だ」 「へっ?」 「だからあいつは貧乏神なんだって」  貧乏神って、あの取り憑いた人をアンラッキーに導いていくアレか。コクアさんが貧乏神? 「んなわけないでしょ。貧乏神って服も汚らしくって、見た目もザ貧乏神って感じじゃない。コクアさんのどこが、ザ貧乏神なのよ」  「貧乏神は元々、なんだよ。なんで、そんな綺麗な服を着ているかはわからないけれど、とにかくそいつは貧乏神に間違いない」  衝撃の真実。いや、コクアさんが貧乏神ということじゃなくて、貧乏神がもともと女性だったとは。ねずみ男みたいな感じや、痩せ細った髪の薄いおじいちゃんのイメージしか出てこない。 「でも、コクアさん、良い人なのよ。私に不幸や不吉なんてもたらしていないよ。今日だってとっても楽しかったんだから」 「楽しかったのはいい。でも何かなかったか、失敗したことや、残念だったこと」  失敗や残念? 「手鏡割れた」 「そいつのせい」 「一番違いでプレゼント貰い損ねた」 「本当は沙耶がもらえるはずだった」 「マカロンは?」 「本当は沙耶が二個もらうはずだった」 「電車の席は?」 「沙野が座れるはずだった」 「ペアチケットも?」 「沙耶がもらえたはず」 「このスカート破けたのも」 「うん、それは貧乏神グッジョブだな」
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