4 吉兆ここに極まれり

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「そうね。私も沙耶ちゃんのこと大好きよ」  クリスマスツリー女の問い掛けに、コクアさんが笑顔で応えている。ということは、二人は紛れもなく知り合い。そして、さっきさらっと家族って言っていたよな。それにコクアンちゃん、なんて愛称っぽく呼んでいるし。 「えっ、えーと。あなた様はコクアさんのご家族様……ですか?」  センスの良さが溢れ出ているコクアさんと趣味を疑いたくなるようなクリスマスツリー女は姉妹? なのだろうか。 「そうよ、沙耶ちゃん。こちらは、私の姉で吉祥(きっしょう)っていうの」 「きっしょ?」 「ノンノンノン、沙耶ちゃーん、それじゃああたしが気持ち悪い存在みたいじゃなーい」 「きっしょ、じゃなくて、きっしょうだよ、沙耶ちゃん」 「きっしょう?」 「そうか、お前は吉祥天(きっしょうてん)というわけか」  いきなり会話に入ってきた大に少し驚いた。 「吉祥天?」 「一般的に言うところの、福の神だよ。で、そっちの貧乏神は黒闇天(こくあんてん)っていう名前だ」  えーっ、こっちのクリスマスツリー女が福の神ですってぇ。それで、コクアさんの名前は黒闇天で、貧乏神で。ん、てことは、貧乏神と福の神って姉妹なの? なにそれ、初めて聞いたんですけど。 「そういえば、吉祥天と黒闇天は姉妹だとされていたな」  大も思い出したように呟いている。 「それにしても〜。もう沙耶ちゃん、本当にサイコーナンバーワンよぉ。ここ五百年くらいで、私の大切な妹のコクアンちゃんをこんなに思ってくれた人間はいなかったわ。もう、ムギュってチュチュってしたい。ていうか、する。沙耶ちゃ〜ん」
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