5 お茶汲み姫の憂鬱

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「大丈夫ですか?」 「ああ、うん。じゃあさ、せめてもの報復で飲み物に靴下の搾り汁とか混ぜてやれば」 「そんな事したのがバレたら、日本中大変な事になってしまいますよ」  両手を大きくブンブンと振りながら、大袈裟な事を言っている。日本中ってあんた、どんだけ大企業に勤めてるのよ。それからも、これまで受けてきたパワハラ、モラハラを語り続けている。私はというと、先程戴いた竹筒型の入れ物に入ったお水をゴクゴク飲んでいる。冷たく美味しいこのお水を飲むと、不思議と涼しくなってくる。 グルルルキュウ 「オウッ」 「どうかされましたか?」 「あ、うん。大丈夫。ちょっと御手洗に行ってくるね」  やばい。冷たく美味しいからってお水飲みすぎたか。強烈な腹痛の波がいきなり私に襲いかかってきた。急いでトイレに行かないと。自宅とは言え、この歳で粗相はできない、したくない。よし、無事にトイレまでたどり着いた、と安心してトイレのドアを開けた瞬間、 「アイツ、早く追い出そう」 「はうっ」  トイレのドアを開けた先に大の顔があった。危なかった、びっくりした拍子にチビりそうになった。しかも、大きい方を。森 沙耶、一世一代の危機を乗り越えた。 「セーフ」 「何がセーフなんだ」 「何でもない、聞くなバカ」 「気になるから教えてよ」 「うるさい。滅せ、エロ神。そういや、さっき何て言ったのよ」 「あっそうだ、あの女。早く追い出した方がいいよ」
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