5 お茶汲み姫の憂鬱

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「そういえば、そんなひどい職場、何年くらい勤めてるの?」 「そうですね、もうかれこれってところでしょうか。  そうか、数千年か。そんなに長い間、そんなブラック企業に勤めていたら逃げ出したくもなるわな。ん、あれ? 「数千年って言った、今?」 「はい、言いましたがそれが何か?」  はい、人外確定。どうして我が家には普通の人間が来ないのだろう。もう妖怪だったり、死霊だったりはお腹いっぱいなのだが。ああ、またお腹痛くなってきたよ。 「あの、つかぬことをお聞きしますが、あなた様のお名前は?」 「…………」 「あの、お名前……」 「…………筒姫(つつひめ)と申します」 「誰それ?」 「やっぱり知らないですよね」  しまった。思わず、正直な気持ちがそのまま言葉になっちゃった。だから名乗るのを躊躇ったと言いながら、筒姫は顔を手で覆っておいおい泣き始めてしまった。っていうか、筒姫って誰なのよ。妖怪? 幽霊? なんかわからないけれど、名前知らなくてすいません。明日、妖怪大図鑑買ってきますから、呪ったり祟ったりしないで下さい。 「沙耶、コイツは妖怪や死霊じゃない。神の一人だから妖怪大図鑑には載っていない」 「へっ、神様」
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