一章

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「…………ま、ヒッキーさんが出て来ても、月詠のチームメンバーとして迎えなきゃならないんだけどね。……でも誰一人として認めない」 「実戦に無能な人材を入れて殺るわけにいかないんでね」 「リーダー、戦力外の人は……」 ボソリと何かを呟いた。 「赤羽(あかばね) (ゆず)」 という名前らしい。 「うちにも名前があんねん。名乗られたんなら名乗らなあかんしな」 「……認めはしないが、足で纏いにならないように訓練場で銃の扱い方を学ぶんだな。言っとくが、テメェも七瀬(ななせ)も俺は守らねえぞ」 「うちはええけど、うちの幼馴染みまでバカにするんは許さへん! 弱いから守らへんとか理不尽にも程があるやろ!?」 「……キョーミのないモノを守る理由はないからな。あんなのは戦力外だ」 「何やて!? 医者は患者を殺すんか!!」 「……か? 戦力外を助けるほど暇じゃねえんだよ。ココが戦場じゃなく現実なら、生命(いのち)灯火(ともしび)は消さねえんだよ」 ココには看護師なんかどこにもいねえ。 いるのはターゲットを抹消する殺し屋だ。 「おおおおおお前、わわわわわ私も守っ」 「そりゃ患者の妹なんでね。見捨てたら俺が殺される」 「おおおおおお前、私にはいつもつつつつ冷たいじゃないか」 「お前が俺に対する態度と同じように接してるだけだが? 冷たいヤツには冷たい態度しか取らん」 顔真っ赤……。茹でダコみてえ。 和紗がやり取りを見てクスクス笑ってる。 「何笑ってんだよ!」 「……あは、ごめんごめん。はーちゃんがあんまりにもカワイイからつい」 「かわいくない!」 「守られるとか、そういうの弱いよね。はーちゃんは」 「うるさい!」
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